こんにちは!
EUのバイヤーにも売っている。eBay Japanから「EU向けの発送が10月1日から変わる」というメールが届いたけれど、自分の出品が対象なのか、何をいつまでに直せばいいのか、よく分からない——今回は、そんな人のための回です。
メールが届いたのは2026年9月20日、eBay Japanからセラー向けの案内でした。米国関税の記事で書いたのと同じ流れが、EUにも来ています。
先に結論を言い切ります。10月1日から、EU向けの安い商品は、セラーが関税を前払いして送らなければいけなくなります。
対応して続けるか、EU向けを外すか、国内で売るか。選び方の目安も後半に書きました。締め切りは10月1日16時です。
この記事の前提
- 出典は、2026年9月20日に届いたeBay Japanからのセラー向けメールです。日付・金額・条件は、このメールの記載どおりに書いています
- 相場データの記事ではないので、今回も為替の表記はありません
- 関税の実額や税率は、いまも動いています。この記事では具体的な率は書きません(前回の米国の記事と同じ扱いです)
- 制度の最終的な解釈や、経理・税務の判断は、通関業者・税理士など専門家にご確認ください
10月1日から何が変わるか
まず言葉の整理から。
DDPというのは、関税をセラーが負担して送る方式のことです。逆がDDUで、こちらはバイヤーが受け取り時に払います。今回はこのDDPが「必須」になります。
メールに書かれていた条件を、そのまま表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適用開始 | 2026年10月1日16時(日本時間)以降に成立した取引から |
| 発送元 | 日本 |
| 発送先 | EU加盟国27カ国 |
| 対象の金額 | 送料を除く商品価格が150ユーロ以下(150ちょうどを含む) |
| 150.01ユーロ以上 | 引き続きDDUでよい |
| 対象のキャリア | すべて(SpeedPAKを含む) |
150ユーロというのは、日本円で約2万7,000円です(1ユーロ=約180円で計算・2026年9月24日時点)。為替が動けば円での金額も変わるので、目安として持っておいてください。中古カメラだと、ほとんどの出品がこの線の下に入ると思います。

読み飛ばしやすいところが3つあるので、補足します。
ひとつめ。基準になるのは「発送した日」ではなく「取引が成立した日時」です。10月1日16時より前に売れたものは、これまでどおりで構いません。
ふたつめ。150ユーロは「送料を除いた商品価格」です。送料を足して150ユーロを超えても、商品そのものが150ユーロ以下なら対象に入ります。ここは逆に覚えている人がいそうなので、念のため。
みっつめ。UK(イギリス)は対象外です。EUを抜けているので、今回の話には含まれません。「ヨーロッパ全部」と雑に括らないほうがいいところです。
そして、キャリアを選んで逃げる、という手はありません。すべての配送業者が対象なので、「DDPに対応していない発送方法を使っているから自分は関係ない」ということにはならないのです。対応していない場合は、対応しているものに切り替えることになります。
(2026年10月8日追記)日本郵便は、送り先の国によって、関税の前払い(DDP)にできる国とできない国が分かれています。国別の早見表は「EU向け150ユーロ以下、日本郵便で送っていた人はどうする?」の記事にまとめました。
自分の出品が対象か、3つで確かめる
手元の出品に当てはめるなら、見るのは次の3つです。
- 送り先が、EU加盟国27カ国のどこかか(UKは入りません)
- 送料を除いた商品価格が、150ユーロ以下か(約2万7,000円。1ユーロ=約180円で計算・2026年9月24日時点)
- 取引が成立したのが、2026年10月1日16時(日本時間)以降か
3つともあてはまる取引は、DDPで送る必要があります。どれか1つでも外れていれば、今回の対象ではありません。
米国の次はEU、という流れ
前回の米国関税の記事で、日本郵便もSpeedPAKも「関税はセラーが発送前に払う」仕組みになった、と書きました。
今回のEUも、向かっている方向は同じです。関税を誰が払うかという負担が、バイヤー側からセラー側へ移っていく。米国で起きたことが、EUでも起きた、という順番になります。
セラーは何をすればいいか
メールには、やることが4つ書かれていました。どれも10月1日16時までに済ませておくものです。番号の順に見ていきます。
1. いま使っている配送サービスが、EU向けのDDPに対応しているか確かめる。いちばん先に見るのはここです。未対応だと、あとの3つをやっても意味がありません。対応していなければ、対応しているサービスに切り替えることになります。
2. 商品価格と送料を見直す。関税をセラーが持つということは、その分のコストが増えるということです。キャリアの手数料もかかります。増えた分をどこで吸収するかを、10月1日より前に決めておく必要があります。米国関税の記事でも書いたとおり、ここで固定の「%」を決め打ちするのはおすすめしません。金額は商品ごとに違いますし、税率そのものも動いています。CPaSS等で実額を見られる場合は、出す前に見ておいてください。
3. 商品説明欄を書き換える。「関税はバイヤー負担です」という趣旨の文を入れている人は、それを直します。10月1日以降、EU向けの150ユーロ以下の商品では、その記載が事実と食い違うことになるからです。書き換え先の英文は、メールに記載例が載っていました。
For buyers in the European Union: Import duties are prepaid under the Delivered Duty Paid (DDP) method. You don’t need to pay additional import duties when your order arrives.
出典:eBay Japanのセラー向けメール(2026年9月20日受信)の記載例
日本語にすると「EUのバイヤーの方へ:輸入関税はDDP(関税込みで届ける方式)で前払いされています。商品が届いたときに、追加の輸入関税を払う必要はありません」という意味です。
4. EU向けのShipping Policyを作って、対象商品に適用する。手順はeBaymagを使っているかどうかで変わります。メールには複数の方法が案内されていて、迷った場合は「方法A」を選ぶように、と書かれていました。
やることは多くありません。ただ、締め切りがあります。10月1日16時です。
守らないとどうなるか
ここが今回、いちばん重い部分です。
DDPが必須になったあと、DDPで送らなかった商品について「届かない」(Item not received)という申し立てが起きて、eBayが介入した場合。その取引はセラー側の責任として終了し、Defect(ディフェクト)が付きます。
Defectというのは、セラーの成績に付く傷のようなものです。溜まるとアカウントの評価が下がります。そして、今回の案内で気になったのはこの2点です。
ひとつは、関税や通関の遅れに関するNegative・Neutral Feedbackが、削除の対象外になっていること。普段なら消してもらえる可能性のあるケースでも、関税がらみの評価は残ります。
もうひとつは、このDefectがアピールしても消せない、と明記されていることです。「事情を説明すれば取り消してもらえる」という道が、最初から閉じられています。
つまりこれは、「対応が遅れても、あとから謝れば取り返せる」たぐいの変更ではありません。10月1日を過ぎてから気づいて直す、では遅いことがあります。
ここでひとつ、自分の経験も書いておきます。私もEUのバイヤーと取引したことがありますが、関税でもめたことは一度もありませんでした。何も起きなかったので、実際のところ「関税って、そんなに問題になるものなのかな」くらいに思っていました。ただ、それは制度が変わる前の話です。これまで何も起きなかったことは、これから何も起きない理由にはなりません。
EU向けを続けるか、外すか(判断の目安)
10月1日を前に、選べる道を整理しておきます。どれが正解とは言いません。
| 選択肢 | やること |
|---|---|
| ① EU向けを続ける | 10月1日16時までに、配送・価格・説明文・ポリシーの4つを直す |
| ② EU以外へ寄せる | EUを発送除外にする。ただし米国も同じ方向へ動いた後です |
| ③ 国内で売る | メルカリ・買取店・委託販売など、日本国内の出口を使う |
②について。EUを外せば今回の対応は不要になりますが、米国もすでにセラー負担の方向へ動いています。「関税を気にしなくていい売り先」が、地図の上でだんだん狭くなっている、というのが2026年9月時点の状況です。
③は「輸出をあきらめる」という意味ではありません。商品ごとに、いちばん手取りが多い出口を選ぶ、という話です。関税と国際送料を引いたあとのeBayの手取りと、国内で売ったときの手取りが逆転する商品は、確実に出てきます。当ブログではこの比較を機種別に続けています。Canon AE-1で試した第1号と、4つめの出口を扱った委託販売の回が入口として読みやすいと思います。
どれを選ぶかの材料を、ひとつ置いておきます。値段に上乗せすれば済むのか、という点は、米国のときから答えが出ていません。米国関税の記事で、関税分のつもりで売値を15%上乗せしたら売れなかった例を書きました。出品数が少なく、評価の育っていないアカウントでの結果なので、値段のせいかどうかは切り分けられていません。私はその後この検証を続けず、eBayの出品をいったん休止しています。
ここから言えるのは、上乗せの影響を測れるかどうかは、出品数とアカウントの育ち具合で変わる、ということです。出品数があって評価も育っているなら、①で続けながら売れ行きを見られます。上乗せしたあとの売れ行きを測る材料がないなら、②や③に寄せて様子を見るのも一つの手です。
まとめ
- EU向けに150ユーロ以下の商品を出しているなら、10月1日16時までに4つ(配送サービスのDDP対応の確認/価格と送料の見直し/説明文の「バイヤー負担」の修正/EU向けShipping Policyの適用)を済ませてください
- 2026年10月1日16時(日本時間)以降に成立した取引から、日本→EU加盟国27カ国・商品価格150ユーロ以下(送料を除く/150ちょうどを含む)の発送は、DDP=セラーが関税を負担する方式が必須になります
- 150.01ユーロ以上は引き続きDDUでよく、UKは対象外です。キャリアはすべて対象で、発送方法による例外はありません
- 守らなかった場合、関税がらみの商品未着はセラー側の責任として終了し、Defectが付きます。関税・通関遅延に関する悪い評価は削除対象外で、Defectはアピールしても消せません
- 関税の実額は流動的なので、この記事では率を書いていません。CPaSS等で実額を確認してから値付けしてください
- 上乗せの影響を測れるだけの出品数がないなら、EUを外す・国内で売るのも選択肢です
最後に、ひとつだけ
制度の話ばかりになってしまったので、別のことを書いて終わります。
以前、私からカメラを買ってくれた人が、そのカメラで撮った写真をメールで送ってくれたことがありました。
すごく感動しました。それだけです。
だから続けましょう、と言うつもりはありません。制度は変わりますし、休むのも自由です。ただ、送り出したカメラが海の向こうで写真を撮っている——この仕事では、そういうことが実際に起きます。10月1日の準備が面倒に感じたら、そのことを少しだけ思い出してみてください。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!



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