【eBayカメラせどり】+15%上乗せで出品したら売れなかった話|米国関税との付き合い方・2026年9月版

比較・まとめ

こんにちは!

アメリカのバイヤーに売っているけれど、関税はいったい誰が、いつ払うのか。$800以下なら免税だったはずでは? 値上げしたほうがいいのか——ルールが何度も変わって、どこから確かめればいいのか分からなくなっている人に向けて、2026年9月時点の現状を1本にまとめました。

先に結論を言い切ります。$800の免税枠はもうありません。そして日本の個人セラーが使う主要な発送方法では、関税は「セラーが発送時に払う」仕組みになっています。つまり関税は、仕入れ値や送料と同じ「販売コストの一部」として、値付けの段階から織り込む必要があります。

  • 制度の調査日:2026年9月8日(記事末に出典一覧あり)
  • 実体験パートは2026年9月14日時点の話です
  • 今回は相場データの記事ではないため、為替表記は省略します
  • 関税・税務の最終判断は、税関・通関業者・税理士など専門家にご確認ください。この記事は「参考情報の整理」です

まず制度の今:0免税は終わりました

昔からeBay輸出をやっている人には常識だった「$800以下は免税(デミニミス)」。これが2025年8月29日に停止され、いまも復活していません。

その後の流れをざっくり並べます。

時期何があったか
2025年8月29日$800免税(デミニミス)が全世界向けに停止。以降、$800以下でも課税
2026年2月20日米最高裁が、いわゆる「トランプ関税」の根拠のひとつ(IEEPA)を無効と判断
2026年6月24日それでもCBP(米税関)が別の権限で、デミニミス停止を「無期限」に
2027年7月1日議会立法により、デミニミスは法律上も廃止される予定

「最高裁が関税を無効にしたなら、免税も戻るのでは?」と思いたくなりますが、免税枠の停止は別の権限による措置なので、判決の影響を受けていません。2026年9月現在、$800免税は存在せず、復活の見込みも公式には示されていません。中古カメラは、1円の商品でも課税対象です。

「じゃあ何%かかるの?」→ ここは流動的です

税率のほうは、2026年に入ってから何度も変わっています。最高裁判決で一度止まり、暫定の仕組みを経て、2026年7月24日からは別の法律に基づく関税が発効し、日本は「上限12.5%程度」のグループとの情報です。

ただし注記です。この税率の数字は、貿易情報サービスや法律事務所の解説をもとにした「目安」です。米国政府の原文(一次情報)で条文レベルまでは確認できていません。データ不足の部分はデータ不足と書くのが当ブログの方針なので、ここは「10〜12.5%程度らしい、ただし要確認」とだけ受け取ってください。

もうひとつ、実務で大事なポイントを。関税は「どこから発送したか」ではなく「原産国(どこで作られたか)」で決まります。日本から発送しても、中国製ボディなら中国向けの税率です。Made in Japanのオールドカメラは日本原産扱いが基本ですが、個別の判定は専門家へ。

誰が・いつ関税を払うのか:主要ルートは「セラーが発送前に払う」

ここがこの記事のいちばん大事なところです。発送方法別に整理します。

発送方法関税を払う人払うタイミング
日本郵便($100超〜$2,500)セラー(差出人)発送前に前払い(必須)
SpeedPAK($2,500未満)セラー発送時に関税込み(DDP強制)
SpeedPAK($2,500以上)セラーかバイヤーか選択可方式による
FedEx/DHL等の直接契約選択可(バイヤー払いも可能)通関時・配達時
  • 日本郵便:2025年8月27日から米国宛て引受が止まっていましたが、2026年4月14日に全面再開。ただし再開後は、内容品$100超〜$2,500以下の荷物について、差出人(セラー)が専用アプリ(日本郵便の案内ではZonos社のもの)で発送前に関税を前払いすることが必須になりました。受取人払いは選べません。アプリの利用手数料も別途かかります。
  • SpeedPAK(eLogiで使うeBay公式推奨の発送方法):申告価格$2,500未満は「DDP」=セラーが発送時に関税を負担する方式に統一されました。こちらも実質、選択の余地なしです。
  • クーリエ直接契約なら「バイヤー払い(DDU)」も技術的には選べますが、受取拒否や返送、低評価のリスクがあります(ここはリスクの話で、推測を含みます)。

つまり、日本の個人セラーが現実に使う主要ルートでは、関税は事実上セラー払い。「バイヤーが受け取り時に払うんでしょ?」という以前のイメージのままだと、想定外のコストを丸かぶりすることになります。

オレンジコネックス(eLogi/SpeedPAK)を使っている方には、発送画面で毎回見えている話なので目新しくないと思います。この記事で特に届いてほしいのは、独学で始めて、日本郵便でそのまま出している方です。知らずに出品していると、発送段階で初めて関税前払いを求められて慌てることになります。

eBay公式も「価格に上乗せせよ」と言っています

「セラーが払うなら、その分を売値に乗せるしかないのでは?」——その通りで、実はeBay Japan自身が「関税分をカバーするよう商品価格または送料を引き上げる」ことを公式に推奨しています。値上げはズルでも裏技でもなく、公式の推奨事項です。

ただし、ここで固定の「%」を決め打ちするのはおすすめしません。理由は2つです。

1. 税率が流動的:上で見たとおり、2026年だけで仕組みが何度も変わっています。「15%」と決め打ちしても、来月には前提が変わっているかもしれません

2. 税額は商品ごとに違う:関税は「原産国×品目コード×申告価格」で決まります。日本製のデジタルカメラと中国製のボディでは、同じ売値でも税額が違います

なので現時点での現実的な運用は、固定%を頭に置きつつ、発送前にCPaSS(SpeedPAKの推定関税表示)やZonosの見積りで「実額」を確認する、という二段構えだと考えています。売値に対するその他のコスト(eBay手数料・為替の目減り)の考え方は、以前書いた手数料の分解記事も合わせてどうぞ。

上乗せすれば売れるのか:+15%で出して売れなかった例

「上乗せすれば解決」と言い切れるのか。判断の材料として、+15%で出した例を1つ書いておきます。

トランプ関税が始まってから、関税分のつもりで売値を15%上乗せして出品してみました。結果、ぜんぜん売れませんでした。

ただし、この結果には大事な但し書きがあります。

  • 出品数(コマ数)が少なかった:そもそも母数が少ないので、売れなかったのが「価格のせい」なのか「露出不足のせい」なのか切り分けられません
  • 育っていないアカウントで出品していた:評価や販売実績の少ないアカウントは、同じ価格でも売れにくい傾向があります

つまりこれは「上乗せしたから売れなかった」という証明にはなりません。出品数が少なすぎて、参考値にも届かない一つの例として読んでください。

それでも書いておくのは、「eBay公式が推奨する通りに上乗せすれば解決」と単純にはいかない可能性がある、と実感したからです。上乗せすれば米国バイヤーから見た総額は上がる。総額が上がれば売れ行きには当然響きうる。制度上の正解(上乗せ)と、市場での売れ行きは、別の問題です。

私はその後、この検証を続けず、eBayの出品をいったん休止しています。出品数が少なく評価も育っていないアカウントでは、上乗せの影響を測れるだけの材料がそろわないからです。同じような状態なら、上乗せして様子を見る前に、下の②や③と比べてみる価値があります。続けるか外すかの目安は、EU向けDDPの記事にまとめました。

セラーの選択肢は3つ

現状を踏まえると、米国関税との付き合い方は、大きく3つに整理できると考えています。

選択肢内容
① 米国向けを続ける関税分を売値・送料に上乗せ+発送前にCPaSS/Zonosで実額確認
② 販売国を米国以外へ米国を発送除外にして、欧州・アジア等に軸足を移す
③ 国内販売へ振り分けメルカリ・買取店など、国内で売る

②について補足すると、周りのセラーさんを見ていると、米国以外への切り替えにシフトしている人が多い印象です。ただしこれは観察による印象で、データではありません。②は試していないので、良し悪しは書けません。なお欧州のうちEUは、2026年10月1日16時(日本時間)以降に成立した取引から、150ユーロ以下の商品で関税をセラーが負担する方式(DDP)が必須になります。詳しくはEU向けDDPの記事に書きました。

③は「eBayをやめる」という話ではなく、商品ごとに一番いい出口を選ぶという話です。関税と国際送料を引いたeBayの手取りと、メルカリで売った場合の手取りが逆転する商品も出てくるはずです。国内で売る場合の手取りは、メルカリvs買取シリーズで機種ごとに比べています。

どれが正解、とは言いません。言えるのは、「以前と同じやり方のままで、何も考えなくていい」という選択肢だけは無くなった、ということです。

注意:払った関税は戻ってきません

もうひとつ、勘違いしやすいポイントを。

eBay輸出をやっていると「輸出は消費税が還付される」という話を聞いたことがあると思います。それと混同しやすいのですが、米国で課される関税は、日本の消費税還付とはまったくの別物です。前払いした関税が後から戻ってくることはありません。

つまり関税は、仕入れ値や国際送料と同じ「販売原価の一部」として扱うしかないコストです。帳簿上の正確な処理(どの科目でどう計上するか)は、税理士さんにご確認ください。

まとめ

  • 米国に出品しているなら、まず使っている発送方法で関税を誰が払うかを確かめてください(日本郵便・SpeedPAKなら基本はセラー)。値付けは、発送前にCPaSSかZonosで実額を見てからにしましょう
  • $800免税は2025年8月29日に停止、いまも復活していない。2027年7月には法律上も廃止予定
  • 日本郵便・SpeedPAKという主要ルートでは、関税はセラーが発送時に払う仕組み(日本郵便は発送前の前払いが必須)
  • eBay公式も価格・送料への上乗せを推奨。ただし税率は流動的(対日10〜12.5%程度との情報・要確認)なので、固定%の決め打ちより発送前にCPaSS/Zonosで実額確認
  • +15%上乗せで売れなかった例が1つあります(出品数が少なく、評価の育っていないアカウントでの結果)。上乗せすれば解決、とは言い切れません
  • 選択肢は3つ:①米国向け継続(上乗せ+実額確認)/②米国以外へシフト(EUも2026年10月1日から、150ユーロ以下はセラー負担のDDPが必須)/③国内販売へ振り分け。③の手取りはメルカリvs買取シリーズで機種別に比べています
  • 関税は還付されない。消費税還付とは別物で、販売原価の一部。経理処理は税理士へ

制度は、この1年で本当に何度も変わりました。そしてこれからも変わると思います。変わったら、このブログでまた追いかけて報告します。輸出が終わったわけではなく、やり方が変わっただけ。一緒にアップデートしていきましょう。それでは、また次の記事でお会いしましょう!


出典一覧(確認日:2026年9月8日)

  • CBPファクトシート(デミニミス停止): https://www.cbp.gov/sites/default/files/2025-08/factsheet_suspension_of_duty-free_de_minimis_treatment.pdf
  • Federal Register 2025/9/2(デミニミス停止): https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/02/2025-16802/
  • Federal Register 2026/6/24(CBP暫定最終規則・無期限停止): https://www.federalregister.gov/documents/2026/06/24/2026-12670/
  • KPMG解説(CBPのデミニミス停止): https://kpmg.com/us/en/taxnewsflash/news/2026/06/cbp-suspends-de-minimis-exemption.html
  • JETRO 米国関税資料: https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/us_tariff/pdf/02_20260727.pdf
  • Global Trade Alert(税率の推計): https://globaltradealert.org/reports/S122-US-Tariff-Estimates
  • Zonos 米国関税アップデート: https://zonos.com/us-tariff-updates
  • Grant Thornton解説: https://www.grantthornton.com/insights/alerts/tax/2026/insights/the-trump-administration-new-tariff-road-map
  • USITC HTS検索(品目別税率): https://hts.usitc.gov/
  • 日本郵便公式(米国宛て再開・関税前払い): https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/information/2026/0413_01.html
  • 日本郵便プレスリリースPDF: https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2026/00_honsha/0413_01_01.pdf
  • eBay Japan公式(SpeedPAK DDP・価格転嫁の推奨): https://ebay.co.jp/speedpak/ddp
  • eBay公式(米国関税の一般ポリシー): https://export.ebay.com/en/seller-updates/ebay-news/us-tariffs
  • eBay公式(重要アップデート): https://export.ebay.com/en/resources/important-updates/
  • Value Added Resource(最高裁判決後のeBay告知・報道): https://www.valueaddedresource.net/ebay-updates-sellers-us-tariff-changes/

※税率の現状(対日10〜12.5%)は解説記事ベースの目安であり、米国政府の一次情報での条文確認はできていません。実際の税額は発送前にCPaSS/Zonos等でご確認のうえ、最終判断は税関・通関業者・税理士など専門家にご相談ください。

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