これまでこのブログでは、フィルムカメラのボディを中心に「実際にいくら儲かるか」を実売データで検証してきました。そこで何度もぶつかったのが、「高く売れるカメラほど、意外と儲からない」という壁です。
極めつけがContax T3。50万円で売れるのに、手元に残る利益はたった1万円ちょっと(利益率わずか約2%)でした。
そこで今回は発想を変えて、こう問い直しました。「利益額」ではなく「利益率」で選ぶなら、答えは何なのか?
その答えの有力候補が、オールドレンズです。今回は代表格「Super Takumar 55mm f1.8」で検証したところ——利益率20%超え、条件次第で40%超えという、これまでのボディとはまったく違う数字が出ました。
※調査日:2026年7月2日/為替:1ドル=約161円(円=実売値、ドル=換算値)
なぜ今、レンズなのか
先に考え方を共有します。せどりの利益は、ざっくりこう決まります。
利益 = 売値 −(仕入れ + 手数料15% + 国際送料 + 為替目減り)
ここで効いてくるのが、手数料は「率」、送料は「定額」という点です。
- eBay手数料は売値の約15%。売値が高いほど絶対額が膨らむ(T3は手数料だけで7万円超)
- 国際送料は定額に近い。しかもレンズは軽いので、ボディより送料が安い(小型で数千円)
つまり「安く仕入れられて、軽くて送料が安い」商品ほど、利益率は高く出やすい。オールドレンズはまさにこの条件にはまります。銘玉レンズは数千円で仕入れられるうえ、世界中のミラーレスユーザーが「アダプター遊び」で買うので需要も安定しています。
Super Takumarとは
Super Takumar 55mm f1.8は、旭光学(現PENTAX)が作ったM42スクリューマウントの標準レンズ。「オールドレンズ入門の王道」として世界的に知られています。安い・写りが良い・球数が多い、の三拍子で、フィルムでもデジタル(ミラーレス+アダプター)でも人気です。
※今回は前期の「Super Takumar」と後期の「Super-Multi-Coated Takumar(SMC)」の55mm f1.8を、実売価格帯がほぼ重なるため同じ枠で集計しました。50mm f1.4・55mm f2・Auto Takumarは別物として除外しています。
eBayでの実売価格(Sold・日本人セラー)
eBay.comでSold(売り切れ)・発送元=日本に絞り、レンズ単体の実績を集計しました。
| 区分 | 円(実売) | ドル換算 |
|---|---|---|
| 最安(並〜Near Mint下位) | 約7,000円 | 約44ドル |
| 中央の目安 | 約10,000円 | 約62ドル |
| 高値(MINT・前期型・付属完備) | 約17,000〜19,000円 | 約110〜120ドル |
売れ筋のボリュームゾーンは9,000〜13,000円。特に「MINT」表記で送料無料の個体が数多く売れていました。
ヤフオクでの仕入れ相場(実際の落札価格)
仕入れ側はヤフオクの落札相場(直近180日)で確認しました。全体平均は4,232円ですが、これはキャップ・ジャンク・まとめ売りを含む数字。レンズ単体・動作品だけに絞り直すと:
| 区分 | 落札相場 |
|---|---|
| 動作品(並〜良品) | 約2,000〜3,500円 |
| 美品・整備済・純正付属付き | 約5,000〜5,800円 |
| 仕入れの中央目安 | 約3,000円 |
球数が非常に多く(180日で1,000本超)、動作品を3,000円前後で拾うのは難しくありません。1円スタートの動作品オークションは競り上がっても3,000円前後で止まることが多く、狙い目です。
利益のざっくり見積もり——ここが本題
中央値どうしのモデルケースで計算します。レンズは軽いので、国際送料は小型の実費(安全側で3,000円)で見積もっています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| eBay売値 | 10,000円 |
| ヤフオク仕入れ | −3,000円 |
| eBay手数料(約15%) | −1,500円 |
| 国際送料(小型・実費) | −3,000円 |
| 為替・決済の目減り(2〜3%) | −約250円 |
| 利益の目安 | 約+2,250円 |
| 利益率 | 約22.5% |
利益率22.5%。 ついに20%の壁を超えました。しかも仕込み方次第で、もっと伸びます。
| パターン | 売値 | 仕入れ | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| MINTを安く仕入れ | 13,000円 | 3,000円 | 約6,050円 | 約47% |
| 中央×中央(上のモデル) | 10,000円 | 3,000円 | 約2,250円 | 約22% |
| 美品を高く仕入れ | 10,000円 | 5,500円 | 約−250円 | ほぼ赤字 |
利益率20%は超えられる。ただし条件つき
検証結果はハッキリしました。「安く(3,000円前後で)仕入れて、MINT表記で1万円以上で売る」を成立させれば、利益率20%超えは現実的です。
逆に、美品を5,000円台で仕入れて普通に売ると、送料と手数料で利益が消えます。カギは2つ:
- 仕入れを3,000円台に抑える(球数が多いので焦らず動作品を拾う)
- 国際送料を実費で計算する(レンズは軽い=送料が安いのが最大の武器)
利益「額」より「率と資金効率」で見る
ここで、これまでのボディと並べてみます。
| 機種 | 利益率 | 利益額 | 拘束される資金 |
|---|---|---|---|
| Contax T3 | 約2% | 約11,000円 | 約380,000円 |
| CONTAX T2 | 約7% | 約13,000円 | 約130,000円 |
| Super Takumar 55mm f1.8 | 約22〜47% | 約2,250〜6,050円 | 約3,000円 |
1台あたりの利益「額」では、レンズはT2・T3に負けます。でも見てほしいのは右2列。
レンズは仕入れ3,000円。T3の1台(38万円)を仕入れる資金があれば、レンズなら100本以上仕込めます。利益率20%超で何十本も回せるほうが、資金効率でははるかに上。
高額ボディは「1台で1万円を狙うが、大金が長く寝る」。レンズは「1本の利益は小さいが、少ない資金で高い率を、数で回せる」。まったく別のゲームです。資金が限られている人ほど、レンズ路線のほうが理にかなっているとも言えます。他機種との比較の全体像は7機種の比較まとめ記事もあわせてどうぞ。
状態(持病)で価格が動くポイント
レンズ特有のチェックが価格に直結します。
カビ・クモリ・拭きキズ・絞り羽根の油(oily aperture): これらの記載がある個体は大きく減額。ヤフオクでは「要清掃」ジャンクが数百円まで落ちることも。仕入れ時は状態欄を必ず確認してください。
MINT・整備済・純正付属(フード/キャップ/フィルター)付き: eBayでプラス評価。フード付きMINTは16,000〜19,000円で着地する例もありました。
前期型(Early Model): “Early Model”を売り文句にした個体が高値で売れており、マニア需要がうかがえます。
「放射能レンズ(黄変)」について
オールドレンズ好きの間では、トリウム含有で黄変する「放射能レンズ」が知られています。ただ今回のデータでは、55mm f1.8に明確な黄変版の売れ筋は確認できませんでした。黄変で有名なのは主にSuper Takumar 50mm f1.4(後期)のほうで、55mm f1.8では話題が少ないレンズです。55mm f1.8で黄変版を狙うのは、今回のデータ上は再現性が低いと補足しておきます。
根拠にした売れた例
eBay Sold(発送元=日本):
- MINT・送料無料 … 10,000〜13,000円台が多数
- フード付きMINT … 16,000〜19,000円
- 並品〜Near Mint下位 … 7,000円前後
ヤフオク落札相場(仕入れ側):
- 動作品(並〜良品) … 2,000〜3,500円
- 美品・純正付属付き … 5,000〜5,800円
リサーチのコツ
eBayは「発送元=日本(Item location=Japan)」を必ず効かせる。 これを外すと米国・英国セラーが大量に混ざって相場が濁ります。レンズは特に世界中に出品者がいるので要注意。
仕入れは焦らず動作品を3,000円前後で。 球数が非常に多いので、高く競り上がった個体を無理に追う必要はありません。次がすぐ出ます。
送料の安さを味方につける。 レンズの利益率が高いのは、軽くて送料が安いから。梱包を工夫して小型・軽量で送れば、それがそのまま利益率になります。
まとめ
- 「利益率」で選ぶなら、高額ボディではなくオールドレンズが有力な答え
- Super Takumar 55mm f1.8は、安く仕入れてMINTで売れば利益率20〜47%(ボディのT2は約7%、T3は約2%)
- 利益「額」は小さい(1本2,000〜6,000円)が、仕入れ3,000円で回せるので資金効率が圧倒的。T3の1台分でレンズ100本以上
- カギは「仕入れを3,000円台に抑える」「送料を実費(軽い=安い)で計算する」の2点
- 資金が限られている人ほど、レンズ路線は相性がいい
高く売れる派手さはないけれど、少ない元手で高い利益率を、数で積み上げる。これはボディとはまったく違う稼ぎ方です。「利益率20%は夢か?」への答えは——夢ではない。ただし、その道はレンズにあった。
※本記事の数字はすべて調査日時点の実売データに基づくざっくり見積もりです。為替や相場の変動により変わります。仕入れの際はご自身でも最新のSold実績をご確認ください。



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